HappyMerry Christmas…?
「真っ赤なおはな〜のトナカイさ〜んは〜♪」
上機嫌でキラはツリーに飾りをつけていく。
さっきまでべそをかいていたとは思えない。
リビングに置いてあった飾りもまだな、もみの木を見つけたとたん、キラから
涙は引っ込んだ。
「いつ〜もみんなの〜わ〜らいもの〜♪」
そろそろ聞いてもいいだろうか…?
機嫌も直ったみたいだし…
「でもそのとし〜のクリスマスの日〜サンタのおじ〜さんは言いました〜♪」
「キラ」
「暗い夜道は〜ぴかぴかの〜………なあに?イザーク」
歌を中断して、首を傾げて俺も方を向く。
「…アスランと何かあったのか…?」
ニコルやディアッカのように誘導尋問が出来ない俺は単刀直入に聞くしかない。
「……っ」
思い出したのか、キラの紫水晶の瞳に涙が浮かぶ。
キラが言い出すまで待てばよかったと後悔しても遅い。
涙が零れる前にそっと抱き寄せて、あやすように背中を撫でてやる。
そうしたらキラが俺のシャツを俺よりも小さな手で掴むから、よけいに愛しくなって。
「キラ?」
「あ、のね、アスランにサンタさんに何をお願いするのって聞いたんだ。」
まさかとは思うが、あの腰抜け…
「そしたら…ア、スラ…はサンタさんなんかいないって…」
…やっぱり…
ぽろぽろと零れ落ちる涙を拭ってやりながら、あのデコをどうしてやろうかと考えた。
「イザークもサンタさんいないと思う…?」
涙で潤んだ瞳で見上げてくる。
信じていないなんてキラの手前、言えるわけがない。
けれど、前に読んだ本 −旅行手記かなにかだったと思う− には…
「いるぞ、サンタクロース」
「…ほんとに?」
「ああ。地球の北欧にはサンタクロースの住む町があるそうだ」
「ほんとのほんと?」
「本当だ。なんなら、来年一緒に行くか?」
「…連れて行ってくれるの?」
「キラが行きたいのならな」
「行きたい!」
「じゃあ、約束だ」
「うんっ!!」
嬉しそうに。
本当に嬉しそうに笑うから、たとえ観光地でも連れて行ってやろう。
抱きしめて、キスをしながらそんな事を思った。
「今日は泊まっていけ。飾りも途中だろう?」
「うん。そうする」
再び歌いだしながら飾り付けるキラを眺めながら、
玄関の鳴り止むことのない呼び出し音を無視し、母上と料理長に一人追加だと通信した。
「キラぁ〜〜〜〜〜〜っ!!」
ジュール家の硬く閉ざされた門の前で一人嘆くアスランがいた…
お待たせいたしました。アスVSイザXキラのクリスマスです。
サンタさんを信じているキラちゃん…いくつなんだってかんじですね…
今回はイザーク勝利です。
アスランは自業自得。
同情の余地なし!!
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